拈華微笑

我が琴線に触れる森羅万象を写・文で日記す

  梅殺し

 昨夜(3/24)は月イチの『俳句会』があった。
 いつものカフェ文学が、閉まっているので今回のみ別なカフェで開催したが
 時が経つにつれ小さなカフェは混み合って、最初は保護されていた我々の一角も他の客が侵入してきて
 話し出すものだから、句を練った40分ほどは静寂だったのに、10人ほどいた各自がいざ発表という時にカフェ内のざわめきで
 なかなかよく聞き取れず、この点のみはカフェでやる限り改善の見込みは…などと思っていた。

 この夜、でたテーマは『梅の花』『風』『ドレス』…とかであったが、 練った句は 『 北風や ツバは目深に 紅(べに)は赤 』:一撮
 てな句しか出なく、冷たい北風のなか すれ違う 目深に帽子をかぶった女性・・・(上村一夫の漫画を最近みかけた影響がもろに出て
 彼が描く)女性の赤い唇が『梅の花』が咲いているように鮮やか…だった印象を詠ったつもりであった。
 ・・・その情景をフランス語で他のメンバーに説明するのは容易ではなく、わかってくれた人はいたであろうか・・・?

 帰宅して毎週金曜日の歌勝ち取り大会的なTV番組『Voice』を二人で観る。夜11時頃になると急にニコルがそわそわしだし、番組もそこそこ
 我が家の10個近くある時計を一時間進める作業をし始めたのだ。あゝ〜そうか!!明日を境にサマータイムなのだ〜
 時計を進めると相方は、もう夜中よ、と本来23時ちょっと過ぎただけなのにいそいそと床にむかった。

 前回のブログのショックはその後も尾を引いて特に、たまたま出会った芭蕉の句 『野ざらしを  心に風の  しむ身かな』…の真剣さに
 あらためて、それこそ身を引き締める思いにさせられ、あのショックも悪いばかりではないものだ・・・と云うようなことが頭の隅にしっかりと
 あったのだろう、よく眠れぬ朝を迎えた時、この様な一句が浮かんできたのであった。

 

   写真は2月にパリに行った時、Palais de Tokyoで行われていた展示より

 この『梅殺し』の句のこころは、退職後ゆえにわかるサマータイムの不自然さを詠ったもので
 昨年までサマータイムといっても仕事にかまけて何の感慨もなく、ただただ日が長くなって『便利』ぐらいのものであったが
 今回一日一日その流れを身に感じ始める生活をしていると、突然夜になってもなかなか日が沈まない不自然さ、
 そして春になったばかりの時期にバッサリと夏時間に人工的にして春を殺すような感じを…はじめて受けた心持ちからきたものである。