拈華微笑

我が琴線に触れる森羅万象を写・文で日記す

西洋の能…

今週からローザンヌでは『旧市街祭り』が始まった。

毎年行なわれるこの初夏の祭りは、ボクにとってほんのちょっと日本の『お盆』の時期夜に屋台が並ぶ人混みをぶらつく…そんな気分にさせてくれる催し物。

一週間、毎晩旧市街のいくつかのステージで音楽、芝居、ダンスが行なわれる。

一昨日、ボクはプログラムで見出した、『私の唯一の欲望』という意味深なタイトル…それに、中世の服をまとった若い女性と右端に3人の全裸の女性!の写真に眼が取られて…こりゃ~意味深!!!と感心して夜23時からの公演に一人ででかけた。

相方ニコルは仕事で疲れて行かない、と言いながらボクの不純な動機を怪しみながらも送り出してくれた。

ボクはいま、昔撮った中世祭りの写真をまとめている。

それには、ネットでみたTVシリーズ『バイキング』や『ローマ』を見終えて、少し西洋に対する理解が深まったような…気がしたことがあった。そんな時に、プログラムのこの写真を見て、なんかインスピレーションを受けた…『眼の保養…』の点も正直あつたが。

でもって、水曜の23時であるから、観客はボクのようなオッサンばかりであろう…と、行ってみると、あに図らんや老若男女でもって満席状態であった。そして、やはり写真撮影禁止…であったのだ。

撮影はアッサリ諦め、ステージじ集中する。

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ボッツチェリの春…そのまま、のシチュエーションで一応ジャンルは『ダンス』。

最初、素っ裸の4人の女性が客席からステージにあがり中世のタピストリーの壁に花を4人揃って、ゆっくりとした動作で花を植えるように飾ってゆく。まさにこの絵の3人のように…そのあと一角獣、猿、寅、兎の面をつけた途端、優雅に見えた4人の裸がコミカルな動きになった。しばらくして4人のうちの一人の女性が絵のような中世の服を着衣するあたりから、全裸の女性に関して違和感もなくなっているばかりでなく、かえって着衣した女性により色っぽさを感じている自分があった…。

スペースの使い方とか動きとか、面の使い方…そんな雰囲気を見ているうちに、なんだか日本の『能』や『狂言』を想起した。

といっても、日本で能や狂言を見たのは3回ぐらいなので、正直よく知らないのではあるが、ボッツチェリーの絵画と能が発展したのが15世紀であることは案外偶然ではないのかもしれない。寓意から隠れた真意を汲み取る形が西洋にも自覚されてきた。