拈華微笑

我が琴線に触れる森羅万象を写・文で日記す

Images Vevey 2020 の写真フェス

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Images Vevey2020、 ローザンヌの隣街Veveyでおこなわれている。

今年はコロナのために2年おきに行われる写真フェスないんじゃないか〜っと思っていた・・・というか正直言うとすっかり忘れていたし、いつもだったらローザンヌの街角のアチラコチラにポスターが散見するはずなのに、今年は何故かほとんど見かけなかったので、先日たまたまVeveyの街に行ったのでこの写真フェスが行われていることを知った。

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駅前の小さな公園スペースに2枚づつ配置された写真…写真自体はどうということが無い・・・と思って何組かの写真を見ているうちにすっかり魅了されてしまった作品。一人の人の出勤風景スナップであるが、全て同一人物のほぼ同時間であるが日にちが違う2枚組写真。何組かの写真を見ていると写真家の意図がだんだんわかってくる面白さがある。服装はちがっているが、その人物の習慣(タバコやコーヒー)や心の持ち方までもまったく同じではないか・・・?と思えるほど、その人物の心境、或いは性格が時間の違う2枚組写真を見ることで透かして見ることが出来る気がするのが大変おもしろかった。

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小さな街Veveyで3週間行われる・・・無料で開放される『写真フェス』はバスまでも宣伝。

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今回の写真展で度肝を拔かれた作品。

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ポーランドの年配男性の作品。赤ちゃんの写真のベルトコンベアーがご覧のような状況でぐるぐる回るシステム・・・、作品としては写真というより、配置芸術(インスタレーション)であろう。コンセプトしては毎日たくさんの赤ん坊が地方新聞では写真入りで紹介されるらしいが、このことを新聞印刷機のイメージで視覚化して見せたい…というような主旨??らしい。

そして奥に見える電光掲示板の数字は上の黄色数字は今現在生まれた赤ん坊の人数、下の赤の数字は死亡者数・・・とのこと。とにかくこの規模を顧みず展示を実現させようとする心意気にボクはひたすら感心するのだ。

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この肝っ玉かあさんは、台湾の女性らしい。一番左の写真は一人息子の出産前の状態、以下息子の成長に合わせて数年おきに撮った母子の記念写真をどんどん背景に取り込んだ記録写真。

息子が20歳ぐらいになった2020年の記念写真が最期に展示されていて、彼らの生き様と肝っ玉かあさんと息子の人間としての成長を見ることで、時間が人に催す影響を見るようで興味深い作品だった。

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この作品は写真集になっていて、ボクは最初にそれを見たが非常に面白かった作品。

作者は日本人で住んでいたベルリンのアパートから見える一台の卓球台をめぐる人間物語…ともいえるような作品。

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まともに卓球をプレーしている写真がほとんど無く、物を置く場所になったり、椅子の代わりになったり、台の上で踊ったり、ストレッチ体操したり様々なことが起こる。

写真集の一番最期の写真は この卓球台が取り外しされている写真であったが、もし市の役員がこの写真集を見ていたら、多分この卓球台を取り外さなかったであろう…などと想像。

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教会内に設置されたスクリーンにどう見ても立体的に見え、重厚な音楽とともに刻々と変化する映像のクオリティーに驚愕した作品。

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以前にベニスの有名な展示会ビエンナーレに出品された作品とのこと。

…その他、素晴らしい作品が街のあちらこちらで展示されているので一日では全部は見ることができない規模のヴェヴェイの写真フェス、コロナ騒動の中、室内ではマスク着用が義務付けされ、入り口、出口には消毒液が設置されている中での開催は予想を裏切る素晴らしいものであった。