拈華微笑

我が琴線に触れる森羅万象を写・文で日記す

月の道

 朝6時の目覚ましで起きたニコルは小さな叫び声をあげた。これはボクにも来い,というサインと感知したので寝ぼけ状のまま起きて道場の開け放された窓の外を見ると・・・現実離れした光景に息をとめた。

 満月が見たことの無い大きさで深い青を背景に浮いているのだ。ニコルが興奮して<月の道,月の道>と叫んでいるのは,その月の光がレマン湖に光のカーペットのようにキラキラ敷きつめて我々の窓に続いている様をあらわしていた。

 ボクはチャンチャンコを急いで羽織り,カメラと三脚を取り出してベランダに出たときはすでに時遅し,さっき垣間見た月はもうそこには無かった。月の大きさがぜんぜん違うのだ。

 ニコルはまだ窓辺に立って,画用紙に彼女の印象を描いていた。ボクの写真より余程その感じを写していた。

きょう29日,同僚のY君チュニジア人が女の子Linaちゃんのパパになった。奥さんも5ヶ月前にチュニジアから来たばかり。

今,パリの友達マリーは癌と闘っている人とは思えない元気な笑顔でスカイプしてくれた。彼女の顔がもう一つの満月にみえた。