拈華微笑

我が琴線に触れる森羅万象を写・文で日記す

徒歩8分43秒のHUMS

 我々夫婦の習慣の一つに、土曜の朝は<マノーで朝食>というのがある。ローザンヌ市街の真ん中にあるデパート・マノーの屋上にあるセルフサービスのカフェ・レストランのモーニングセットがボクらのお気に入り。

 夏はテラスから遠くにアルプス、近くに旧市街の街並みが一望でき、冬でもガラス窓越しに丘の上にある美しいカテドラルを眺め、週末でくつろいでいる人達と共に味わうカフェオレは格別だ。(ちなみに、スイスではカフェオレとは言わずなんと<ゴンベルセ>という色気の無い発音である。)

 朝食後は夫婦べつべつ活動と言うと聞こえはいいが、わかりやすく言うと妻は市場に買い物へ、ボクは街中をぶらぶら散歩ということになっている。それで今日はボク写楽斎は久しぶりに、ギャラリー<HUMS>へ立ち寄った。

 街中、小さな教会裏にある古い2階建てのギャラリーは何故か目立たず、わざとその存在すら気付かせまいとしているかのようにたたずんでいるので、いつもは素通りするのに今日は魔が差したか、気がついたらHUMSのドアをひいていた。

 2階から若い男が降りてきて、2階にも展示がありますよ・・と言ってくれた。ボクがここに来たのは4回目になるが、いつも誰もいないギャラリー貸切状態で作品を鑑賞できて、うれしいような、不思議な気持ちになる・・というのもここに展示される作品群がいつも<不思議>なのだ。

 一階の展示作品は、昔のヌード写真に手を加え、下にコメントがある大キャビネの写真作品。中でもボクが気に入ったのは、敵対する二つの軍隊の間に<魅力的な若い女が裸でしなを作って立っていて・・・我が軍の最新兵器である>・・というコメントが付いているもの。なるほどボクが兵隊だったら一発で殺られてしまうだろうなあ〜と感心。

 二階の作品は素晴らしい!!としかコメント出来ない作品。<仮面の舞踏>というタイトルの作品には魅せられた。40万円なり。この二階のギャラリーは白一色に天窓が付いていてボクの大好きなギャラリー。ここでボクの作品を展示したいが、オーナーはエロチシズムの傾向のある作品が好きである・・とさっきの若い男が教えてくれた。

 エロチシズム・・・もちろん好きだが、それを作品化するのは易しくは無い。・・・