拈華微笑

我が琴線に触れる森羅万象を写・文で日記す

映画小僧だったボク

 <ブリューゲルへの旅>の現実という章にブリューゲルの<猿>と題した絵が印刷されているページに中野さんは二十歳の時、二等兵だったときの暗い体験を、この繋がれた二匹の<猿>に託してその心情を吐露している。ここを読んでいて、その絵を見ると、何だか息が詰まって、重苦しくなってきた。

 と同時に、伴淳三郎の<二等兵物語>や勝新太郎の<兵隊やくざ>の映画を思い出した。
伴淳のこの映画はボクが何歳の時見た映画なのだろうか?・・・とにかく、結構良く覚えている、だけじゃなくて、ボクはこれらの映画から人間について、沢山大切なことを学んだ・・・ということを今にして思う。ボクがいい意味で、醒めた眼で世の中を見られるのは、ボクを取り巻く現実の環境ばかりではなく、小さい頃みたこうゆう映画などからもおおいに世の中について学んでいたこと、このエッセーを読んだ時、二等兵の経験がないのに、違和感なく中野さんに共感出来るのも映画による追体験のお蔭だとフト思ったわけだ。