拈華微笑

我が琴線に触れる森羅万象を写・文で日記す

文学の夕べ

 夜、ニコルのお姉さんジョゼが何やら講演をするというので二人で行ってきた。
 ジョゼは大学のスイスフランス語圏文学研究所の職員であり詩人で、今回の講演はフランスの詩人フィリップ・ジャコテに関する彼女の研究発表の講演であった。ボクはその方面はまったく無知だし、それを理解するフランス語の能力も自分に無いことを承知のうえ、普段の彼女を知っているので、よそ行きの彼女はどんなんかな?という興味本位で参加したのだ。

 ローザンヌ街の真ん中と言っていい,サンフランソワ界隈ふだんよく素通りするブランド・ブティックの2階に秘密結社を思わせる木製の頑丈そうな木のドアに<Cercle de Litterture>つまり<文学サークル>という黒のプレートが掛かっていて、中に入ると小さな入口からは想像出来ない広々としたサロン、それに4つの部屋があり、大きな窓からまだ明るい外の光が入るサロンは重厚な中に何か楽しい知的な雰囲気をただよわせていた。ニコルから少し聴いていたが確かに集まる人達は教授とか医者とか社会的地位の高そうな面々。19世紀以来メンバー制になっているそうでボクなんかが本来入れる場所ではないが、関係者ということで参加。

 ジョゼの講演は結構普段のままの彼女で、特別あがったりした様子もなく、徐々に調子が乗ってきてなかなか興味深い(もっと言葉がわかればさらに良かったが)話で、最後に幾つかの質問者もあって自他共に満足する内容だったと思う。

 彼女の一人娘,大学生のマエルも母の講演を評価していた。(マエルはこの後,明日から3週間軍事訓練に出かける彼氏としばしの別れの晩餐、その彼は軍靴を一足失い、いま探している処だと・・・。)

 とにかく,普段見ることが出来ない別な社会の一幕を垣間見ることが出来た夜。