拈華微笑

我が琴線に触れる森羅万象を写・文で日記す

枯れ葉マーク付けて棺桶かな

 最後の悪あがき的気分で作品の現像を一枚でも多く済ませる覚悟で朝から気合が入っていた。

 現像と云ってもPhotoshop での作業であるが、他の人はどうか知らないが,ボクの場合は一枚仕上げるのに平均30分ぐらいは要すると思う。しごとをする感覚としては暗室での作業とほとんど同じだと思う・・・が、

 暗室時代は,まず,バットを並べるバットマンから始まり、その後はほとんど、吸血鬼ドラキュラになった気分で
赤薄暗い暗室の中を一晩中行ったり来たり、光というあらゆる光を忌み嫌い,恐れ、時折現像の結果を見るために明かりをつけては,その結果にため息をつき、視神経ばかりでなく,現像,停止の酢酸,定着、それぞれの液の臭いに臭覚神経もボロボロ,眼を真っ赤にして期せずして朝を迎えたことが何度あっただろうか。

 これを懐かしい・・・というより、暗い牢獄から解放されたパピヨンの気分のほうがボクは強い。

 デジタル時代はボクが迎えた身近なうれしい<未来の衝撃>の一つであることは絶対間違いない。

 そんな事を思考しながら現像していたら、スカイプが鳴った。久しぶりに姉の顔を画面に見る,何だかいつもより綺麗に見えると思ったら,コンピュータを新調したとのこと,どうりで写りがいい。

 世間話が始まってしばらくしたら,義兄が画面の後ろのほうで遠慮がちに立っているので、声をかける。話が車のことになったとき,日本では75歳になると車にシールを貼らなければならない・・・というところに差し掛かった時,横から姉が、<そうなのよ、あなた若葉マーク知っているでしょう、あれみたいに橙色のシールで、なんだつたかなぁ、あぁー,枯れ葉マークだったかなぁ・・・。>これを聴いていた義兄が、すっかり気を悪くして、<お前,枯れ葉マークはないだろう。あれはシルバーマークだょ。>  確かに枯れ葉マークだとしたら、それは差別用語だろうょ、とボクはそれを聴いていて可笑しかった。・・・なんだかんだで、小一時間はだべったろうか。

 再び現像再開、5枚くらい仕上げて,昼になりニコルと一緒に<ひまわり>で定食。

 月曜からの仕事に備えて,ごま塩のヒゲをいつものように電気カミソリで剃ろうと思ったら,壊れていた。
 このカミソリも15年以上使っていたので,買い換えることにした。 なんと支出の多いバカンス。