拈華微笑

我が琴線に触れる森羅万象を写・文で日記す

ノリコ観音にアッコ観音(バーゼルにて)

今日は,ニコルと二人でバーゼルへ、電車で2時間の旅に出かけた。
目的は人形作り師ノリコさんの人形を初めて見るため。
 バーゼル街中、ある店の2階の二間のスペースで,一つはノリコさんの人形、一つは宮本さんの蔵書、能のテキストから始まって、様々な珍しい日本の本を展示、あと竹内さんと、もう一人は日本在住のガラス作家の作品を展示してあった。その部屋の奥の一角に、青雲堂のアツコさんがカウンターの後ろで茶を入れていた。

 二つあるテーブルにかけて和菓子を食べながら茶ヲ飲むという指向になっていてこれが、ボクのバーゼル行の目的のひとつでもあった。

 ここに着いた時、ちょうどパフォーマンスが行なわれるというので、物凄く小さなこのスペースで、どんなことが起こるのかと思っていたら・・・2階から着物をきた白塗りの白人女性が舞踏の足さばきでゆっくり降りてきた。十分ぐらい踊ってからおもちゃの木琴を取り出して日本の歌を上手に歌い出した。不思議な一瞬,夢の如きパフォーマンスであった。

 ノリコさんの女性の人形は6体展示してあって、どれも秀逸。 ニコルがその人形たちを見て<まるで人間の盆栽のよう・・・>という感想を漏らしたが、たしかに生き生きとした小さな人間がそこに存在している。

 彼女の人形は常に女性で、ボクには<観音様>的雰囲気を漂わせている・・ように見える。彼女の創りだした人形の顔と自身のそれと全く違うところが非常に面白い。

 久しぶりに青雲堂のお茶に、バーゼル在住の女性の作った和菓子をいただく、感激のあまりボクは串団子を先頭にまんじゅう系2個に、どら焼きをいただく。 

 茶を飲みながら,アツコさんと芸術における禅の言葉についての会話、彼女は髪こそ白髪であるが、女学生そのままの真っ直ぐな性格まるだしで、軽々しく禅の言葉を書などに書く書道家などに対して相変わらず厳しい。その厳しさをボクの今回の展示作品<不立文字>にもぶつけられたわけであるが、かつてはボクも彼女以上にその点に厳しく、それがあために修行を本格的にやり直した経緯を説明・・・しながら、徳山をやりこめる老婆の話を思い浮かべていた。