拈華微笑

我が琴線に触れる森羅万象を写・文で日記す

 もう一つのTokio

 先日、Facebookだったかで、紹介されていたNHKのETV特集『長すぎた入院 日本の精神医療その恐るべし実態』をたまたま見て
 少なからず衝撃を受けた。
 今年ボクと同じ年齢66歳になる『時男』さんは39年間精神科病棟に閉じ込められていた…というのだ。
 1950年代、精神障害者は生産阻害因子・・・当時、国家予算が7500億円のうち1000億円が精神障害者によって生産阻害されているとみなして
 精神障害者にたいして『隔離収容政策』を国が打ち出し、病院を援助した!
 それでこの時男さんも17歳の時、一時精神不安定になって誇大妄想になり、最終的に『統合失調症』ということで精神病院にいれられ、なんと
 東日本大震災時の原発事故によって、原発近くの病院にいた時男さんは他県の病院に収容され、その時に入院の必要なしとみなされ39年ぶりに退院した。
 
 原発事故のおかげで、精神病院から出ることができたのだ。でなければ恐らく死ぬまで退院できなかったのではないだろうか!!
 こんなところにも、地震と津波によってさらけ出した日本の『闇』が露出した…といえる。
 時男さんだけではなく、様々な事情で大した病状ではないのに何十年と入院させられていた人々がいたことが明らかになった。
 北朝鮮の拉致と等しい『人権迫害』が日本国の政策によって弱者を病院に閉じ込めていたわけだ。

 それと、これもたまたまであったが、『獄友』というドキュメンタリー映画について自由報道協会で取りあげていたのを見た。
 監督の金聖雄さんがとつとつと映画について説明したが、無実の罪で17年〜48年に渡って服役していた5人の男達を取材したものだ。
 そもそも監督がこの映画を作る動機というのが、彼等は『不運だったけど、不幸ではない、わが人生に悔いなし』・・・という生き方に接したからであるという。
 日本ではたしか5月19日公開・・・であったと思うが、ボクもいつか是非見てみたい映画だ。
 監督の金さんは、日本の警察、司法のあり方を徹底的に批判し、今の安倍内閣の嘘で塗り込まれた政治も批判している。
 権力側のメンツのために冤罪にされる弱者の立場に立つ、もうひとりのまともな人がこんなところにもいた!とうれしくなった。
 予告編をみると、出所後の彼等は確かに皆、元気そうで、精神病院から退院した人達とは対象的であったが、
 やっぱり規則正しい生活をする刑務所と食事時間以外はおとなしくしているだけの病棟では精神生活という面ではかなり違うのだろう。

 いずれにせよ、自由を奪われた数十年をどう、捉えるのか・・・そこが残された人生の生き様となってくるのであろう。
 Tokioといえば、先日日本のワイドショーを活気づけた、芸能グループ・メンバーの一人が未成年の女性にキスを強要したことで脱退させられたが
 この場合もやはり過去の実績を自らの行いによって『奪われた』者であるが、彼のこれからの人生はまた逆の意味で苦味を噛みしめるものであるだろうか…

 

  時男とTokio… 時を見つめる男の図