拈華微笑

我が琴線に触れる森羅万象を写・文で日記す

剣の名人は刀を抜かない

病床にて山本周五郎の<虚空の遍歴>上巻140ページぐらいを読み。唸る。

 作家の才能というものは・・・というより言葉がでなくなる。

 視覚芸術家と作家の才能の比較というのは不可能?であり無意味?だろうか。 こんに凄い小説を読んだら自分の写真なんか,ママゴトみたいな気がしてくるのだが。

 昔,今は亡き小説家の中上健次さんがボクの写真を見て<あなたは,小説書けるよ>・・と言ってくれたが
これはどういう意味だったのか? 写真家を目指していたボクに小説書けると言われても・・・ 

 ボクの写真をみた中川さんは,ボクの写真に小説家と同等の感性を感じたのだろうか?小説を読んだ時のような印象を持ったのだろうか?・・・その時聞いておけばよかった。

 中川さんがボクにこう言ったとき,ボクは瞬時に 〈書けないから,写真をやっているんだよ!> と内心思ったのだが,よく考えるとそれは少し違う,書けないと自覚するはるか以前に写真に出逢っていたから。