拈華微笑

我が琴線に触れる森羅万象を写・文で日記す

あっぱれ無名写真家…ビビアン・メイヤー


Vivian Maier´s photographs (1926 - 2009)

素敵な音楽とともに彼女の写真をみることができる、特に9分54秒から彼女のセルフポートレートが展開されるので必見!!!何も求めない彼女の眼差しがかえって何かを強く訴えている…ようで魅せられる。

 

今、スイスというかヨーロッパでは復活祭の連休があって学校が春休み中。

小児科医院に勤めるニコルも2週間のバカンスで、この水、木曜日と一泊二日でイタリアはロンバルディア州の小さな都市パビアという人口7万3000人の街(ミラノから南へ30Km)へ行ってきた。

去年の今頃もトリノへ行って雨に降られたが、今年も降られた…。

Pavia…なぜニコルがこの街を選んだのか?わからないが、近場で行ったことのない街という理由か。

イタリアといえば教会だ。小さな街でもビックリするような教会があちこちにある。

今回特に印象的であったのは、パビアから電車で隣駅にある1396年創建のカルトジオ会派修道院!駅から徒歩で修道院の周りを取り囲む高さ3mほどの壁の周りを遠回りに歩いて入り口にたどり着いたが、まるで刑務所を想像。

珍しく写真は一切禁止。肌の露出した服装厳禁。他のイタリア団体旅行客と混じって聖職者によるイタリア語の教会内に響く解説はまるで賛美歌を聞いているよう…であった。中庭を取り巻く回廊の柱ごとに立派な彫刻が施され、当時珍しい修道士らの個室が18個隣接して、食事も個室で摂り、無駄話は一切禁止され作務と祈りの禁欲的修道生活の日常を死ぬまで過ごした…という。だから、ボクが最初に思った刑務所という印象もまんざら当たらないこともない。

しかし、今回の旅のメインイベントはこれまた偶然であったが、ビビアン・メイヤーという女性の写真展であった。

パビア街の中心にあるヴィスコンティ城の地上階が展示会場になっていてここで彼女の写真展が行われていた。彼女の名前を聞いても知らないはず。彼女が生きている間、彼女の写真は世にしられることがなかったのだ。

シカゴの写真コレクター、ジョン・マルーフがマイヤーの写真をオークションで手に入れ、2008年にインターネットにアップロード、2009年にブログで紹介することで徐々に関心が広まり、後に彼女の生涯を描いたドキュメンタリー映画や書籍が刊行されるようになった…という。

彼女はベビーシッター、介護人として働くからわら、生涯を通して写真を取り続けた。生涯独身で、自分の事は一切人に語らなかったそうだ。これだけ素晴らしい写真を撮っていながら全く発表しようとはしなかった…というのが不思議を透して神秘だ。

f:id:syaraku-sai:20190427062949j:plain