拈華微笑

我が琴線に触れる森羅万象を写・文で日記す

かぼちゃスープで見栄はる

 ボクの柄じゃないホテル・ボーリバージュにいって2000円のスープ、900円の煎茶で"初見栄”をはる。

 というのは、いつものカフェが閉まっていて、その隣のカフェに行くと年配の方ばかりで、老人ホーム状とかしていた。
そこへはいずれ行くとして、今日ぐらいは見栄をはってみようかと、それに例の"論語”を静かな洗練された処で紐解くのもおつではないかとニコルとレンタカーで出かけた。 

 流石、ボーリバージュ、ボクなんかはホテルの内部の装飾や展示してある創設当時の写真なんかを見て、ふと映画"シャイニング”の一場面が頭をよぎった。しかも遠くから微かにピアノの音が聞こえてくる、二階にあるカフェに向かい階段を
のぼりきった踊り場、一人がピアノをひき、もう一人の男が手を彼の背において聞いている。ピアノの音はまだ片付けていないクリスマスの飾り付けのある大きなホールに虚しく響いていた。・・・

 わりと広いカフェには3組の客がそれぞれ離れて席をとっていて、ボクらは若い母親と3,4歳の娘のとなりに席を取ったが、その娘の真っ青な眼を見たときボクは一瞬、息が止まるほどの恐怖に・・・という様な事はないかな、とその辺あたりまで、"初妄想”してしまったが、まあ、それくらいシックな雰囲気であったということを言いたかったわけである。

 スープはカボチャスープで、これは逸品で2000円でもさすが・・・と思った。が、ニコルが煎茶を口にした時、彼女の目の色が一瞬変わった。自他共に許す日本通のニコルは普段からお茶にはうるさいが、この時はボクも茶を飲む手を止めて彼女の眼を見た。:これは煎茶ではない!:とその眼は言っていた。

 この日の夜、ニコルの姉の娘、マエル(21歳)が遊びに来た。妻のニコルは今日も日本式お座敷を披露したかったようであるが、マエルは一週間前スキーで膝をケガしてしまい日本式は無理だということで、丸テーブルを用意、モチをご馳走する。彼女はローザンヌ大学の3年生、母親に似ずしっかりしているので将来が楽しみな娘である。