拈華微笑

我が琴線に触れる森羅万象を写・文で日記す

小さな写真屋さん

 いつも行きつけの写真屋さんへ行ってきた。街の真ん中,ブティクの二階の8畳間程の小さな店で,どこよりも安いのと気のいい店主が一人で切り盛りしている小さな店はボクのお気に入りで銀塩時代も,デジタルに移行してからも利用していた。それがここ2年ほどから品数がどんどん減っていき、印画紙を注文してもなかなか届かないような状態が恒常化していた。

 そこへ久しぶりに前を通ったので,ニコルと一緒にちょっと顔みせに・・と店に寄ると,店主がまさに意気消沈の状でひとり椅子に腰掛けていた。ニコルが<どうですか?>と声をかけると、今にも沈没せんばかりの状態をとくとくと話だした。 ネット販売や大きい店には到底太刀打ちできない、この店に独立して15年になるがもう限界で、閉店するという。

 彼はちょうど年金を受ける年齢だそうで、という事は今年65歳ということになる。年金を受けるところまで何とか頑張ろうと、ここまでやって来たという。その安堵感が少し、しかしとても寂しそうな表情が外の曇り空と冷たい風にエコーする。ボクのために取り寄せていたような,ジェットインクをワンセット9個を買って帰ってきた。