拈華微笑

我が琴線に触れる森羅万象を写・文で日記す

秋暗し

秋暗し・・・というのは、朝6時半にでかける時、外は真っ暗で、今我がアパートに帰ってきた18時半も外は真っ暗。

10月31日をもってサマータイムが終わってからというもの、瑞西ではわりと突然に冬っぽくなる。テラスから見えるアルプスやジュラ山も上の方は既に雪化粧して、ここローザンヌにもいつ雪が降っても誰もビックリしないように気候は我々に心の準備をうながしているようだ。それはともかく、テラスに出る大きなガラス扉の向こうはあまりに真っ暗で、三日目の日記を書かなければならない自分としては頭の中が真っ白で、何を書けば・・・などと一瞬躊躇しそうな心にすかさずムチを打った。

母国語を奪い取られたような環境に長年ありながら、結構どんどんとふだん使ってないボキャブラリーが出てくるのが可笑しい。わが脳内では俺の隙を盗んで勝手な会話を楽しんでいたのだろうか?それでもかって島(日本のこと)に住んでいた頃の自分に比べたらボキャ半は失っているだろう。ボクの知っている瑞西在住30年のおばさんなんかは、
もうほとんど日本語が出てこないという状態で、話をしていて内心こうはなりたくない、と思ってしまった。といいながら、昨日の自分の日記をみてみると、”年齢フチ”などど書いてしまったが、正しくは”フェチ”であり、その使い方も正しくないことを後で確認した。

昨日もこれを書く時おかしいと思って、わが妻ニコルに『なんていう言葉だったっけ、ある男がオンナの脚とか、胸とか特定のところが好きだと言う連中のことを・・・』などと聞いたら、『そんな言葉しらないわよ、それにしてもあなた、日記に何を書いているのよ』と怪しまれてしまった。この質問をする際、何だかヤバい気がしたのだが、図星となった。

人生の酸いも甘いもほぼ解る年齢でこっちに来た為、英語にゃ少しは自信があると誤解していた為、現地に行けばなんとかなるさ〜などと甘い見通しの為、島以上の無人島の孤高の人状態にいつの間にか陥ってしまっていたのだ。だって周りはフランス語だし、少しは出来ると思っていた英語も現地ではほとんど通じないとなれば・・・。

ここまで言えば昨日の”監獄から娑婆に出た”という大袈裟な表現で独り喜びしていたボクの喜びをわかってもらえるのではないだろうか。