拈華微笑

我が琴線に触れる森羅万象を写・文で日記す

"西瑞三十六景"は遠い(写真)

 このタイトルは写楽斎の未完成写真集のテーマである。まだ6景ぐらいしか撮れていないので完成まで4、5年かかりそうだ。しかしタイトルは気に入っている。スイスを漢字では瑞西と書くがボクは西瑞としたい。

 この国にきてボクはすぐガイドとして働き始め12年ほどガイドをやったが、いまだにスイスがよく解らない。九州ぐらいの大きさだから、どうってこと無いと思うが、ところがどっこい公用語が4つもある。山や谷で隔てられていて、その村々で掟が違うミタイな感じで、統一感をもてないのだ。西瑞在住18年にしてはっきりわかった。それがスイスなのだと。
 
 当のスイス人にして自分の住んでいる地域以外のことは、よく知らない人がほとんどであるというのは事実だ。ボクの写真のテーマの一つに、祭りがあるが、ボクほどスイス国内の各地の祭りを見たスイス人に会ったことがない。ローザンヌの隣町ジュネーブは快速電車で40分のところで、毎年12月中旬に有名な中世祭りを行うが、わが妻をはじめ、その家族全員がその祭りを見たことが無い・・・というのが典型的スイス人といえる。

 10年ほど前、妻とその両親と姉の家族でローザンヌから1時間半のところシャレー(山荘)に一泊した。経営するのは二人の幼い子を持つ夫婦でそのもてなしが素晴らしくいろいろ話に花が咲いたが、驚いたことは、彼らはまだ一度もローザンヌへは行ったことが無いということだった。スイス、ボーウ州の州都ローザンヌを知らないという。

 ということで、スイスを本当に解りたければ、まずスイスドイツ語(ドイツ人がきいてもわからない)、フランス語、イタリア語を最低でもマスターして尚かつ、それぞれの土地に数年間ずつ滞在するくらいでなければならないであろう。