拈華微笑

我が琴線に触れる森羅万象を写・文で日記す

忘れると来るモノ ”酔足抄”

 それは日本のある座禅会の会員誌でここ7年ほど毎年秋が深まる頃、突然届けられる。7年も続いて届けられれば期待感とか普通もつけれど、現実はそうでなく、いつもすっかり忘れている時を狙って届けられるような気がするほど、届くといつも凄く驚き喜ぶ。
 なぜ驚くのか?と言うと、多分もともとボク自身がこの座禅会の会員ではなく、妻のニコルがメンバーであったが、彼女は日本語を書けないというようなことで長いことご無沙汰していたのが、メインメンバーの編集の人が送ってくれ、それに対してボクが礼状などを書いているうちに、その礼状をそのままこの会員誌に載せてくれたりしているうちに、いつの間にか、ボクもこの会員誌のメンバーになってしまった。という事。

 なぜ喜ぶかと言うと、様々な立場の人達約35人の人がこの一年を振り返っての感想なり、反省なりいろいろな事を思い思いの筆使いで書いてあって、ヨーロッパに住んでいる人間としてこれこそ生の日本だ〜!と感じさせるものは他にはあまりここには無いからである。

 その中でも今回はこの二人の文が印象に残った。

 一人は、去年の会員誌でやります!と宣言した安増義人さんは見事実行して、『昭和の風よ、永久に吹け』という本を書き上げ中央公論事業出版から出版しました。 まだ読んでないのですが、素晴らしい本である事は間違いないと思います。

 もう一人は、1、2年前に出産時の様子とその後の子育てを書いた女性の話ですが、陣痛時の痛みに耐えながら、この痛み方が坐禅の時の究極に足腰が痛くて息が詰まりそうになる感じと似ている・・ということに気づいてから、坐禅での経験を活かしながらお産を無事終えた・・・と言う話は男のボクにはとても新鮮であった。坐禅時の足の痛みは伊達にあるわけでは無い・・・と言う事についてはいつか書きたいと思っているが、この苦しみに耐えるという点だけでも大いなる意義があったわけだ。